久世建二展

 

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ギャラリー・トーク (続き)

 

 

次は、「落下」シリーズです。柔らかい土に衝撃を与えると、それに土は応えてくれる。左の作品は、直径11センチほどの円柱状の柔らかい土を板の上に載せて板ごと1メートル50センチくらいの高さから落とします。木をはずして、焼いた後に少し縮んだ分だけ木を削って合わせます。右は金彩した土を落下させて合わせたものです。

 

 

これも部分的に落下させたものを合成してつくりました。ポストモダンの建築が氾濫していた頃に影響を受けたものです。

 

 

右上の作品は1メートル50センチになる作品で、別々に落下させたものを積み上げています。左のふたつは、サントリーから依頼があって、イメージボトルをつくってほしいとのことでした。本当に自由につくってくれと言われてつくったものです。

 

 

これも落下シリーズです。左は長さが1メートルほどで、ひとつが1トンくらいの土を使って、ベニヤ板に載せフォークリフトに載せて一気に引いて落とします。手前にあるものほど何度も落としたもので、ひびの入ったところに金継ぎのように金をほどこしています。陶芸の森に置いてあって、遠足に来た子供たちが座ってお弁当を食べたりしています。右の作品には金箔が貼ってあります。

 

 

右側の作品は円柱状のものを立てて落としたものです。有機的な動物のようなかたちになります。

 

 

左下は、「ざぶとん」シリーズとも呼んでいますが、正確な立方体を落としてできたものです。

 

 

 

土というものには可塑性があります。可塑性に対する言葉として弾力性という言葉があります。例えばパン生地のようなものは弾力性があって形が変わりにくいのですが、土の場合は可塑性があるので、ろくろにかけることもできるし、与えたことがそのまま残る。だから変化を出せます。上の作品は砂袋で叩いて伸ばしたものです。下の作品も右の作品も手で触れたものではありません。

 

 

ここから作品がガラリと変わります。ホテルのダイニングに飾った作品です。1枚の幅が70センチ、高さが2メートル、それぞれ4人がかりで運びました。金の部分がフラットになっていますが、特別に開発した素材を用いています。

 

 

今度は指あとでできる形です。土に残した痕がしめすかたちです。
私の作品はすべて釉薬がかかっています。コバルト、鉄、マンガンで黒い釉薬にしています。

 

 

左上は指あとで、ひっかいたものです。右上は幅が70~80センチくらいあるものです。

 

 

これらの作品は、プントでの第1回目の展示(Galeria Puntoの最初の展覧会は久世さんでした)の作品です。長さが1メートルほどの角材のようなものを叩いたり、鉄球を布に包んで押し付けたりしてつくりました。左は指で広げたものです。

 

 

「掻く 掘る 積む」のシリーズです。空間にあった土が頭の上にのったかたちです。こういうことを続けていくと潰れてしまいます。別のタイトルで「自業自得」などと呼んでいます。

 

 

立方体を砂袋で叩いて変形させたものです。
このような作品が40~50くらいあります。ひとつのテーマがきまるとバリエーションをそのくらいつくります。

 

 

手前が一辺1メートルくらいの土の中を掘り出して積み上げたもので250キロくらいあります。高さは1メートル50センチくらいになり、上から内部をのぞくことができます。後ろの方はT字の形のものを同じように掘り出して埋め戻したり積み上げたり、別名「墓穴を掘る」とも呼んでいます。

 

 

今回の展示作品が入っています。厚さが4~7センチの厚みの土を掘ってできるかたち、表面を押し広げただけのかたち、右上はワイヤーで削り取ったものを周囲につけたものです。土がもとの姿のままになっています。

 

 

横幅が1メートル80センチほどの羊羹のような形に、中をえぐり出して積み上げました。「土が示すかたち」という別のタイトルがあります。

 

 

左上と右下は同じコンセプトの作品です。もとの形は30センチ立方です。それぞれ3分の1、2分の1、5分の3ほど削って重ねたものです。未来と過去を表わそうとしたものです。

 

 

これらも同じようにしてつくったものです。

 

 

墓穴を掘る、のインスタレーションです。生土のままです。焼いていないものです。ひとつの塊が1トン半にもなります。

 

 

これは京都のギャラリーマロニエの展覧会です。今回の展示作品を並べたものです。20体ほどあります。十字架、人形を70体ほどこれまで作ってきました。マロニエでは、西の窓の方向に向けて置きました。夕方になると夕陽に向かって行くように見えます。

 

 

今回の展示のもとにあるのは、「ツインタワー」です。20年ほど前にツインタワー(ニューヨークのワールドトレードセンター)に行って昇ったことがあります。その時は、雲がかかっていて景色が何も見えませんでした。ツインタワーでのことは、何かアメリカが自業自得で潰れたように思えて、そして自分もそれに加担していたような印象がありました。その後、イラク戦争では1日に50人くらい死んでいっている。それに対する墓標のような気持で今回の展示をつくっています。
グラウンドゼロ、3500人くらいの人が亡くなった。そこにこの墓標を埋めてみたいと思っています。

 

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