野村直城展2

 

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野村直城インタビュー
ライン

野村さんの展覧会会場に入ると、作品と来場者からとても賑やかな空気が伝わってきます。来場者からは「可愛い」「楽しい」という明るい感想が笑い声とともに多く聞かれます。誰もが楽しんで会場を後にします。野村さんがこれまでの展覧会の様子を教えてくれました。
「すごく笑顔になって帰ってくれる人が多いです。『楽しい』と心から出てくる言葉をもらえるのが嬉しい。毎回そんな展覧会になっています」
現代アートと言えば難しく考えがちですが、そういうものとはまったく違う野村さんの世界が広がっています。


 

小品群

 

 

並んだ作品はとてもカラフルで焼き物という感じがしません。最近は3回焼いています。まず素焼き。そして釉薬をかけて本焼き。最後に上絵を740度で焼いています。釉薬は、焼成の条件により変化することがありますが、上絵の色はイメージ通りに色が出てくるそうです。金、銀(パラジウム)を使うときは、ベースになる生地に釉薬をかけたりかけなかったりしてマットにしたり光沢を出したりして、とても変化にとんでいます。カラフルな作品は確かに「可愛い」という感想が多いですが、野村さんは「可愛いと言われるけど、可愛いのをねらっているわけではない」と言います。

 

 

 

 

野村さんの住んでいる所は、作品からは想像もつかない山奥です。そこには、イノシシやシカ、キジ、フクロウ、タヌキ、ウサギ、リスなど実にいろいろな生き物が住んでいるそうです。私たちの普通の生活空間でそのような動物に出会うことはありませんのでわかりにくいことですが、これだけ多くの動物がいると「すごくうるさい。朝などは半端でなくうるさい」そうです。
「彼等は生きるために鳴いている。すごい勢いで鳴いている。人間以外の生き物がすごいエネルギーで暮らしているのがよくわかる」

 

 

 

 

「自分が感じている生き物たちが形になっている」
野村さんの山に住む動物、生き物たちの生や命を、普通の人では考えられないほど強烈に感じる生活の中から湧き上がるように生まれてきた作品であることがわかります。
「結局、頭で考えるのではなくて、手で触っている間に作品の形が出てくることが多いです。以前は、格好つけたり、きれいなもの、美しいもの、を意識してつくっていた感じだったけど、今はつくる前に形が決まっている気がします。例えば、つくっているときに目の位置が、もうそこに書いてあるかのように見えて、そこに目を置く。最初から決まっていたところを彫るだけ。まさにあてはめる、土に自分の気持ちをあてはめる感じがしている。計画的にやっているわけではないです」
生き物たちの存在は、ひとりの作家をここまで導き、その姿がここまで多彩な色と形になることに、あらためて生き物たちの生や命のエネルギーの膨大なまでの大きさと深さを感じさせられます。

 

 

 

 

もともと野村さんが生まれた所がたくさんの自然に囲まれた場所でした。生まれた所が一番気に入っていて、大学院を卒業して地元に帰って来たとのことです。普通の人が感じる日常とはまったく異なる非日常の中にいる生活です。このような生活を選ぶことに不安はなかったのでしょうか。
「生活の不安より、つくりたい気持ちが強かった。物をつくること以外、僕には考えられなかった。何をしても同じように壁にぶつかるなら好きな土で行こうと思った。どんなことをしてもうまくいかないことはある、だから何をやっても一緒だと思います。頭で考えてつくっていた時は、次は何をしたらいいんだろう、と悩んだことが多かったですが、今はすごく楽しくて、次々に出てくる、こんなに楽しくていいんだろうかという感じです」
そんな楽しさと生き物たちのエネルギーを自分のものにしている野村さんには限りない可能性を感じます。最後に、野村さんは自分の作品を次のようにみてほしいと言います。
「特に、考えずに、感じてほしい、みるんじゃなくて感じてほしい。そうじゃないと本当にみることはできないと思います」
これからの野村さんにもますます期待したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

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