澁田寿昭の「2つの顔と・・・」が始まりました。

随分前に焼き締めのうつわを使い始めてから、その違いを実感した経験があります。

ビールの泡が細かい、これはよく聞きますね。

水やお酒を入れておくと、これがなかなまろやかな美味しい味になります。

お花の水を何日も変えなくても腐らずキレイだったのは想像以上の差でした。

そして、外れなく野菜などの色味のある料理が映えるという特典付き。

元々 土ものが好きだった私にとっては、焼き締めはある意味大好物でもあるのですが、

一見すると地味にも見えてしまう事から、イメージ先行で捉えられてしまう部分が多々あります。

黒と茶色の洋服を合わせてコーディネイトすることを”地味派手”と説明した店員さんがいたのですが、

伝統工芸の備前の地で、フランスの土や違う視点を取り入れて表現を続ける澁田さんのYAKISHIMEは、

どこか地味派手な魅力を含んでいるのでなないかと感じています。

元々、澁田さんは”粘土は練るもの” という概念を覆すような独自の素地づくりを作品によってはされています。

土を練らずに形成するなんて、陶芸をかじっている人なら驚くに違いありません。

その土から出来上がった作品は、明らかに他のモノとは異なる様相を呈していた訳です。

その土感さえあれば、むしろ形なんて必要ないくらいに思えてしまう。

そんな長い過程を経て生まれる土独特のテクスチャと丁寧な仕事が、

本来 澁田さんの魅力のひとつではないでしょうか。

今展では、そんな質感を持ち合わせたオブジェや陶板なども揃えました。

 

2つの顔と…

あちらとこちら、

フランスと日本、

芸術と工芸、

釉薬と焼き締め。

6年ほど前にご縁があり、フランスで窯焚きや展覧会を開催。

昨年も8月から9月にかけ一か月ほど、

フランスのリモージュ近くの村での窯焚きと、

パリでの展覧会の国際交流基金主催ジャポニスム2018に参加。

フランスで焼き締めの作家達と、

お互いの技術や情報交換しながらの窯焚きと展覧会。

今までの器作りとは違う思考と表現、

焼き締めの素材や燃料や窯との接し方…

その一端を展示いたします。 

澁田寿昭

 

galeria-punto