「人間はかつて鳥だった」
ネイティブアメリカンの神話の中で、ハチドリは自然及び全ての生き物の脆さや儚さを象徴しています。
星に輝きを与え、真っ暗だった夜空を明るくしたのがこの鳥だったとも言われています。
10代で渡米し、ネイティブアメリカンの画家に師事した沼田さんは、
神話からインスピレーションを得て、私たちが気付かない夜の世界の植物たちの様子を想像しながら描き続けています。
沼田さんが描く絵の多くは夜の世界です。
そのほとんどは黒く見える夜空が背景になっていますが、絵の中に黒色は使いません。
黒く見える夜空は、プルシアンブルーを何度も何度も重ねて塗ります。
そして、絵の中には生命の象徴として描かれた赤い鳥が旅しています。
暗闇に見える夜に黒は存在せず、
月の光に照らされた植物の営みと、小さな星の光が集まった生命の輝きが、そこには脈々と続いているのです。
展覧会の度に、作品と一緒にやって来るのは小さな赤い鳥っこ。
これは2003年から続けている鳥っこ旅立ちパフォーマンス?で、来場者の方々に好きな鳥っこをお持ち帰りいただいています。
それから何羽の鳥っこが旅立ったのか、たくさんの私の知らな場所で飛んでいるのか、
想像するともっと平和な世界へたくさん旅立たせたいと日々願うのです。 沼田佳苗
沼田佳苗の「テラリウムの夜」後半は10月22日~25日まで。
沼田さんとプントとの出会い、そして赤い鳥っこに託された作家の想いは、Punto press vol.4でご覧いただけます。
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