「DOTS 2019」4日目。

雨のあがった午後からは少しずつ人も増え始めました。

投票用紙を片手に、皆さん真剣そのもので作品を見ていただいています。

中には、とても時間をかけて悩みに悩んで記入される方もいて、有り難い。

子どもたちの目線も鋭い、子どもって結構本質を見抜きますから侮れません。

昔、「画廊で絵を見る時は”自分ならどの絵を買うか?”という視点で見てみればいい」

と言われたことがあります。

これが正しいかどうかは別として、自分が買うとしたら・・という視点で作品を見ると、

それまでとはちょっと違った風に作品を見ることができたような気がします。

「これは良いけど私の部屋には雰囲気が合わないなぁ」とか

「それに比べて、これなら あの場所の壁にはありか」とか

単に「上手」とか「きれい」とか「分からない」だけでない、

「分からない」の中にもよく分からないけど好きなものや、受け入れられなくて分からないもの

があることが分かってくる。

今回のDOTSでも、投票という取捨選択するフィルターでもって作品に対峙すると、

ここまで皆さんが真剣に見るのか と感じているところです。

 

現在インターネットでトップを走っているのが魔可多宮ナツさん。

魔可多宮ナツ 「作夢(SAMU)」

届いた作品を開封した瞬間から、丁寧に描いたことが伝わってくるような画面処理。

ヒトや幾何学模様がキャンバスの中を飛び交う。

写真では分かりにくいですが、細かい部分まで様々な色彩で構成されています。

魔可さんから作り出される宇宙空間が皆さんにどんな風に伝わっていくのか。

期待して、最後まで見ていきたいと思います。

来月には、鹿児島市立美術館でのグループ展に参加されます。

こちらも足を運んでみてください。

何も無い宇宙空間から夢を創り出していきます。

人型が幾度と現れてはヒュンヒュン飛び交い未来を作り、ドア、窓、階段は未来に歩き、

真ん中の貝殻は階段になっていて未来に向かいます。

宇宙の命、宇宙が生まれる源を表現しています。夢を作る過程は所謂生命。

吹き出しから出てくる「・・・・・」は言葉を発信している最中です。  魔可多宮ナツ

 

こちらの作品も細かい処理がなされています。

愛らしくて、クスッと笑える人物たちも楽しい藤田さんの作品。

藤田瑞希 「こんにちは」

同じようだけど少しずつ違う毎日。

どんどん自分が増えていく感覚があります。

昨日の自分が今の自分を見てるけど、気張らずになんとなく生きていきたいです。それが理想。  藤田瑞希

藤田瑞希 「育つ途中」

木や花が羨ましいと感じる時があります。

太陽の光を浴びて、四方八方ぐんぐんぐんぐん伸びたい。そういう気持ち。

紙の両面を使ってペン、アクリル絵具、インクなどで制作しました。  藤田瑞希

(瞬間移動は可能ですか?)

思い思いの考えにふける人たち。

同じ空間にいるけれど違うことを考え、違う場所に帰っていく。

それぞれの暮らしをこっそり覗いてみたいという考え事です。  藤田瑞希

裏面からインクなどでドットの形を残し、にじんだ表面にイラストを施してあります。

そのためイラスト作品でありながら不思議なマチエールに仕上がっていて、

作家しか出せないユーモアも。

作品に登場するお姉さんやお兄さんは、線の動きと共にぜひ直に見てほしい作品のひとつです。

藤田さんも来月に二人展を予定されています。

 

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