現在開催中の「Inko Again」は、Puntoでは数年ぶり?となるグループ展で、
クリスマス企画として11名の作家に参加していただいている。
その中の2名はPuntoでは初めての作家であり、少し触れておきたいと思う。
まずはRamoさん。
Ramoと言っても生粋の日本人である、確認したことはないがおそらくそうと思う。
見方によっては異国の香りも十分漂っているので、違う可能性もなきにしもあらず。
少し時間はたってしまったのだが、とある野外展示で作品を見たのが始まりである。
左右にずらっと並ぶ作品を、散歩がてら横目に歩いていると、
何やら意味の分からないモノがゴロゴロと無造作に置かれているブースが気になって立ち寄った。
聞くと、オブジェ作家のようだが、制作の合間にうつわ等も作っているらしく、
この時はそのうつわが主に展示されていた。
これが、その時に購入した器のひとつである。
プロダクトの部品みたいでカッコいい!
この用途のない(断言してスミマセン)スリットにもシビレて、迷わず何個か購入。
使い勝手なんてまるで気にしてなさそうなところにも惹かれる。
しばらくすると作家本人がやって来た。
初対面のRamoさんである。
何だか野性味を感じる風貌に温かい人柄。
開口一番「いや~、高台が難しくて」と言って、頭をかきながらここを指さした。
今 何と?この1㎝あるかないかの突起物が高台!?
周りのドーナツ状の部分だと言うならまだしも・・最初の一言が面白すぎて
私はもう天才を見つけてしまったのではないかと本気で思った程である。
そこからは一心不乱に他の高台の確認作業に入る。
ち、ちっせぇ。
これは、輪ゴムかシールの域。
私は必要以上に真顔だったが、もう心の中のニヤニヤが止まらない。
Puntoでコーヒーを飲むことを考えて無難なものを選んでしまったが、
直径1㎝あるかないかの高台が20㎝くらいの高さのものまでゴロゴロ置かれていた。
中には、倒れないようにと遠慮なく作品をガムテープで机に貼ってあり、
もはや器の用途を完全に無視するくらいの佇まいが、またツボにハマってしまった。
帰ってから、持ち帰った作品を机に置いてみて驚く。
微妙に肩を揺らしている器は、底がほんの少し浮いていて
確かにあの突起が高台として成り立っていたのである、なるほど。
天才の器をクルクル回しながら動画まで撮ってしまった。
そう言えば肝心な表側を見せていないが、これまた良い。
この良さをどう表現するのが適当か、
決して綺麗に整えることもなく、だからと言って無理に無骨な演出もせず
川を経て海に打ち上げられた石みたいな感じとでも言うのか。
私は、休日の野外でひとり空想に浸ってしまった。
そんなキッカケを経て、今回のグループ展にはオブジェを1点展示していただいた。
新作である。
作家曰く「崩壊していく過程の顔(お面)」だそうである。
壊れる、風化する、朽ちる、肉から骨になる、溶ける、そんな崩壊をイメージしているそうだ。
是非ともご覧いただきたい。
「Inko Again」は12月24日まで。