椎名 寛の「生贄展」、本日搬出を終え車を見送りました。
Puntoに行き初めて間もない頃に「作家を大切にしなさい」という教えを乞うた。
これは、その後いつまで経っても、都度言われ続けてきた言葉である。
大切にするとは色々な要素があると思うが、
作家さんと会い展覧会を重ねるごとに、そのひとつでない意味を経験として実感したこともあった。
作家も人間なのでタイプも様々、環境も違えば思想も異なる。
その要望や期待に応えたいというのが人の常であるし、私もそう努めてはいるつもりである、これでも。
しかし、努めている側が全く万能でないのだから、大切と言っても理想通りに応えられないことだらけなのだ。
そのことに随分と頭を悩ませたこともあるし、今でもそれは変わらない。
ギャラリーの役目とは何だろうか。
最近は、その疑問がよく頭をもたげる。
今回の「生贄展」も例外ではなく、作家さんのお話を伺いながら様々な考えを巡らせた。
簡単に見つからない答えに右往左往しながらも、貫いていることがある。
それは、美術への思いと自分自身の目線である。
私自身は、元々 純粋美術に憧れて絵の世界に入っていった。
媚びも執着もなく、行為(表現)自体が目的のような正に純粋さに惹き付けられた。
知識としてはあまり持っていないのだが、自分にとっての圧倒的なものとして純粋美術があったのだ。
なので、作家さんを大切にすることの中には、
美術への思いと自分の目線だけは曲げずに嘘なく作家に向き合うことが、作家に対する最大の敬意であると思っている。
「生贄展」の2週間を終えて、椎名さんも同じような気持ちで来てくれたのではないかと感じた。
答えは、言葉でなく絵の中にあるはず。
そんなことを考えながら、椎名さん、お客さまを交えてゆっくりと持てた時間。
とても貴重で有意義な時間でした。
改めて椎名さんに心からの感謝。
そして会場に来てくださった方、来れなくても遠くから見てくれていた方々、本当にありがとうございました。
そして、今後どんな作品に出会えるのか。
次回の椎名さんの展覧会を楽しみにしています!
Puntoも期待を裏切るくらいのアクションを起こしていかねばならない。