10月6日(日)には、大阪大学医学系研究科 佐藤宏道教授による講演「アートで心を表現する」を開催。

佐藤先生と言えば、日テレの世界一受けたい授業

1時限目「理科」人間の秘密を解き明かす衝撃!脳実験!

今回の講演では、先史時代の洞窟壁画からアール・ブリュット、

展示中の筋ジストロフィ患者の絵画、そして難病医療拠点病院の事情に至るまでのお話を

約1時間余りにわたって講演くださいました。

講演場所は、筋ジス患者さんの作品と共に加古川こども園のパンダたちも参加して、

おそらく先生の普段の講演に比べると、かなり和んだ会場だったのではと想像します。

「施美時間」が始まって以来、大学の合間を縫って佐藤先生と研究者の北口正敏さんが

連日足を運んでくださっており、来場者への解説のため ほとんど会場にカンヅメ状態。

その中で、他の作品もしっかり見ておられるということが、こちらのスライドで判明。

まさか、先生の講演で新くんと魔可さんのライブペイントのお話があろうとは。

おそらく先生は来場者の対応で最初と最後しかご覧になれなかったはず。

その変容ぶりに驚かれたとのことで、その時の様子を「カオスですね」と表現されていて

(間違っていたら、誠にすみません)

ものすごく2人にとっては誉め言葉だったのではないかと思う。

更には、川上和歌子さんの巨大インコもご紹介。

「なぜ人は絵を描くのだろう?」

そんな問いから始まったお話。

内容は筋ジストロフィ患者さんの作品に及び、こちらは実際に展示している作品のひとつ。

画面構成も、ひとつひとつをとっても完成度が高い。

小さな作品をたくさん集めたのは、美しさやレイアウトに凝った訳ではない。

筋肉が落ち、これ以上の大きさは筆を持った腕が振れないためである。

ピカソや岡本太郎に影響を受けた訳でもない。

彼には、そんな画家を知る手立てもなかった。

ただただ、その時の自分の心を描いたのではないだろうか。

画面上には生誕から入院、病気進行に合わせた日付がはめ込まれている。

この作品を描いたKさんは、私と同い年である。

私はまだこうして生きているが、彼は14年前に亡くなった。

絵を描く者は、誰しも他人には見えない描くことへの熱のマグマみたいなものがきっとあり、

それを、それ相応のエネルギーでもって作品に落とし込んでいく。

筋ジス患者は、描く行為そのものが否が応でも生きることと直結していて、

その突きつけられた現実に、私たちのようなごまかしは存在できないだろう。

 今回、鶴林寺で展示している作品は、筋ジストロフィの拠点病院である徳島病院で保管されている。

これら拠点病院が、合理化を理由に既に北海道から統廃合が始まっているそうだ。

徳島病院を訪れて初めて分かった筋ジス患者が必要とする医療、リハビリや心のケア、

そして医療者・研究者のノウハウが、統廃合によって患者に反映されなくなることだけはあってはならない。

佐藤先生の講演を聞きながら、改めて徳島病院の柏木先生のことを思い出した。

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